恋歌 〜secret love〜
もしかしたら、あたしの思いつきなんて間違ってるかもしれないけど。
それでも、あたしは必死に手紙を見直した。
ゆっくりと目で追って、その文字を確かめる。
「先生……?」
「え?」
「ごめん、さゆみちゃんっ! あたし、わかっちゃったかも!
ちょっと外出てくるから、また後でねっ」
さゆみちゃんの肩を両手で掴んでそう言うと、あたしは慌てて自分の鞄からケータイを取り出した。
その瞬間に、くしゃっと手紙にしわが寄る音が耳に入る。
……やばっ!
しわの寄った部分を伸ばすように、あたしは手紙をさすった。
ぱっと顔を上げると、そんなあたしをぼーっと見ていたさゆみちゃんと目が合う。
「後悔しないように頑張って! 結果、楽しみにしてるからちゃんと教えてよ?」
「うんっ! ありがとう、さゆみちゃん」
そう言って微笑むと、さゆみちゃんはふわっと髪を揺らして笑った。
小さく頷いてから、ドアに向かってくるっと方向を変える。
今すぐ走り出したい衝動にを抑えて、人の多い廊下を早足で抜けた。
あたしの顔が、あまりにも必死だったからかな?
すれ違う人の中には、不思議そうな顔を向ける人もいた。
でも、そんなの気にしてる場合じゃない――――
あたしは休憩スペースに向かって、ひたすら足を進めた。