恋歌 〜secret love〜

「便箋を見て、これと同じことがしてあるって気付いたんです。

だから、あたしを推薦してくれたのが頼城先生だって気付いて」


「そうだったのか。期待はしてなかったけど……やっぱり嬉しいもんだな、気付いてもらえると。

俺は、奏のメッセージに気付くまでだいぶかかったけど……」


「そうなんですか?」



びっくりしてそう言うと、先生は躊躇いがちに笑いながら言った。



「書いて貰った時から気にかけてはいたんだが、なかなか気付かなくて。

ちゃんと気付いたのは、……情けないけど、あの雨の日の夜だ」


「嘘っ?」



思わずそう言ったあたしに、先生が不満そうな視線を送った。



この雰囲気が懐かしくて、ついつい緩みそうになる頬に力を入れる。



「でも、気付いてもらえて少し嬉しいです。それに、このメッセージも」



“俺も奏が好きだ”



「そうか……。じゃあ、今の奏の気持ちは?」



“奏の今の気持ちはわからないが”



「うーん……その前に、1つ聞いても良いですか?」


「は?」



“この思い、届くと願う”



「どうして、あたしを推薦したんですか?」



“隆夢”



「あぁ……」

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