恋歌 〜secret love〜
怪訝そうな顔をしていた先生が、納得したように頷いた。
そのまま、まっすぐにあたしを見る。
にやっと笑う先生の表情が、今日の天気には似合わない。
「それは、お前思いの良い友達がたくさんいるからだろ」
「なるほど……」
これはたぶん、彩乃が絡んでるってことだ……。
たぶん、勇人も。
オーディションが終わったら、2人に連絡して問い詰めなくちゃね――――
「他に質問は?」
「うーん……」
ここは、思い切るべき……かな?
さっきまで人でいっぱいだったこの場所も、今は少し静かになった。
それに、自動販売機からもイスからも離れたこの場所なら、周りに人もいない。
「頼城先生は、あたしのこと、好きでいてくれてますか?」
……今頑張らなくちゃ、後悔、するから――――
「私は……好き、なんですけど……」
ためらいがちに言って、ちらっと先生を見る。
視線だけで見上げると、先生は2人でいる時に見せてくれた、あの大きな笑顔をくれた。
「手紙にも書いたからそんな質問しなくて良いだろ。こっちは、恋歌と違って書いたばっかなんだし」