恋歌 〜secret love〜
あたしはここで、足掻くんだ。
最後の、最後まで。 ずっと……――――
そうやって全部をさらけ出してぼろぼろになっても
ちゃんと待ってて受け止めてくれる人が、目の前にいるから。
諦めて中途半端に終わらせたら、怒られちゃうよ――――
「続いて……」
頼城先生……
話したいことが、本当にいっぱいあるよ。
初めて先生に会った時のこと。
PEACEの一員になった時のこと。
彩乃と夢の話をしたこと。
大学に入ってからのこと。
今日だけじゃ、絶対に足りない……――――
でも、全部話し終わったら
また新しい恋の歌を、先生と一緒に創っていけるのかな……?
そう思ったら、頬が少し緩んだ。
「押端奏さん」
マイク越しに聞こえた、自分の名前。
遠くて近いその場所から響いたその声に合わせて
あたしはまた一歩、光の中に足を踏み出した。
【END】