恋歌 〜secret love〜
あたしは、その時の担任の満足そうな表情を忘れない。



忘れられない。



教師を夢だって書いたのは

あの担任が自分の職業に異常なくらい自信を持ってる、って感じたから。



そんな職業につきたいと願う生徒を見る目は

必要以上に過保護になる。

あたしの味方になる。


そう思ったから。



ただ……、それだけ。



それがきっかけで教師を信用できなくなったあたしにとって

将来教師になることは、地獄以外の何物でもないと思う。



でも、“普通”を望む環境の中で
自分の希望を突き通せる程

あたしは我儘にもなれなかった。



あたしが抱いた夢は“普通”の努力で得られるものじゃない。



普通に勉強して

普通に資格を取って……

そうやってなれるものじゃない。



だから、負け犬の遠吠えにしか聞こえないかもしれないけど、あたしは決めたの。
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