恋歌 〜secret love〜
右足を道路について、俺は自転車を止めた。
ブレザーのポケットからケータイを取り出して
とりあえず、たった今思いついたことを実行する。
Time:2***/ 6/**08:15
To :桐渓彩乃
Sub : (無題)
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飲み物は持ってこないで!
(もちろんわざとね)
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うん。 これで完璧!
彩乃に話したように俺にも全て話せなんて、奏に言うつもりはない。
やっぱ、いくら親友でも同性か否かの差って大きいと思うし……
それでも、奏が俺の大切な親友だってことに変わりはない。
ついでに言えば、まだ謎だらけで自分自身についてあまり語らない頼城ちゃんも
英文科志望の俺にたくさん指導やアドバイスをしてくれるし、いい奴だから、俺の大切な人だ。
だから、俺はあいつらの背中なら
いつでも、いくらでも喜んで押してやりたい。
俺は、これから起こる出来事への期待に胸を膨らませながら、校門を通った。