恋歌 〜secret love〜
◆third melody〜first〜
┗初めてのドキドキ
「お疲れー、勇人!」
「おぉ、珍しく遅かったじゃん。部活終わってから30分も経ってるぞ」
「ごめーん!ちょっと準備に時間かかっちゃって!」
彩乃が勇人といつもみたいに話してる。
あたしは、音楽室のドアに隠れながらそれを聞いた。
だって、だって、だって、だって!
こんな格好で勇人に会えるわけがない!
しかも、あたしの予想からすると、音楽室には勇人と彩乃の他にもう1人いるはず。
その人に会うのだって、ものすごく恥ずかしい。
「あっ、頼城ちゃんは今職員室に荷物取りに行ってるから、もう少しで戻って来るよ」
「あっ、そうなの?てゆーか、奏!そんなとこに隠れてないで、早く出てきなさいよ」
「む、無理だってば……!」
勇人の言った、“頼城ちゃん”って言葉が頭から離れない。
だって、“戻って来る”ってことは、ここへ来るってことで……
ここへ来るってことは……
「何を……、やっているんですか?」
「ひゃあっ!?」
この姿を見られるってことなんだもん……