恋歌 〜secret love〜
どきどきしすぎたせいだと思う。
これが、あたしの精一杯だった。
冷静になって少し考えれば、もっと気の利いた言葉だってたくさん浮かんでくる。
そのせいで、頭の中は後悔でいっぱいだし……。
だけど、先生が隣でいろいろな話題をふってくれるから
それが幸せすぎるから
気付けば後悔なんて吹き飛んでて、楽しくて仕方がなくなった。
普段は見つめているだけで、あまり話したことがなかったから
先生がこんなにしゃべるなんて少しびっくりもした。
それに、今までに感じたことのない胸の高鳴りが
あたしの頼城先生への気持ちを再度確認させてくれるみたいだった。
彩乃。
彩乃はたぶん、この気持ちだって諦めるだけじゃダメだって、思わせてくれたんだよね?
ありがとう……――――
あたしは、隣で笑う頼城先生と、勇人と彩乃に
心の中で、そう呟いた。