恋歌 〜secret love〜
「ん?何ですか?」


「あ、あぁ。俺さ、からあげも好きなんだよ。弁当に入ってたろ? 偶然だと思うけど、嬉しかったよ」



先生は、今度は照れたように笑った。



さすがに、それは反則……――――



こんな風に、頼城先生と一緒に過ごすことがあるなんて、つい最近までは想像もしてなかった。



昨日、というか今日

彩乃のと話して、あたしは“諦める”ことがもったいないことなんだと知った。



そんな彩乃だから

「バンドをきっかけに頼城先生と仲良くなって告白しちゃいなさいよ!」

なんて言ってくれたんだと思う。



でも、やっぱりそれは無理。



先生が断る確率は100%

それにあたしは、断られても元通りに仲良く……なんてできる人間じゃないと思う。



何よりも、そのせいで頼城先生の教師としてのキャリアに傷でもついたら困るもん。



だから頼城先生の中で、“仲が良くて可愛がっていた生徒”として覚えてもらえたらそれで良い。



いや、違う……――――


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