恋歌 〜secret love〜
「あたしは、接客だそうです。午前中の」
2日間ある文化祭のうち、うちのクラスが出店するのは1日だけ。
これは森田先生が
「せっかくの文化祭なんだから、目一杯遊ぶことも大切だ!1日はとことん働いて、もう1日はとことん遊べ!」
って言ったから決まったこと。
今思えば、2日目にPEACEのステージがあるあたしには、ちょうど良いスケジュールだ。
「接客か……。確か、衣裳も凝るんだよな?」
「あー、男子がベストとカッターにスラックスで……女子がメイド服だそうです。発想ありきたりだけど、何か憂鬱です。
詳しくは知らないですけど、川野さんが何かの伝手で借りてきてくれるみたいで」
「そうなのか。それにしても、奏がメイド服を着るのは以外だな。今までずっと物静かな生徒だと思ってたしな。
よく話すようになった今でも、そういうタイプには見えないし……」
ちょうど信号で停まったからか、頼城先生は明らかに不思議そうな顔であたしを見た。