恋しちゃいけない!
 
 一人だけ取り残された教室。

「...ま、うすうすは感じてたけどな...こう言いきられると、ちょっと...」

一人で小さくつぶやく志狼。

 その顔は、ひどく落ち込んでいる。

「一目惚れだったんだけど...」

ため息をつく。



 それは、高校の入学式だ。
たった些細なことで一目ぼれしてしまった。

 ただ、廊下ですれ違って

『おはよう』

『...おはよ』

 たったこれだけ。特に、これと言ったこともなかった。

なのに、一目惚れしてしまった。



「はあ...」

二度目のため息をつく。

けど、これから後のため息をするつもりはない。

 【二度あることは三度ある】と言うことわざがあるが、それは無視しておこうと誓った。

そう自分にはまだ、切り札が残っている。











< 11 / 17 >

この作品をシェア

pagetop