恋しちゃいけない!
一人だけ取り残された教室。
「...ま、うすうすは感じてたけどな...こう言いきられると、ちょっと...」
一人で小さくつぶやく志狼。
その顔は、ひどく落ち込んでいる。
「一目惚れだったんだけど...」
ため息をつく。
それは、高校の入学式だ。
たった些細なことで一目ぼれしてしまった。
ただ、廊下ですれ違って
『おはよう』
『...おはよ』
たったこれだけ。特に、これと言ったこともなかった。
なのに、一目惚れしてしまった。
「はあ...」
二度目のため息をつく。
けど、これから後のため息をするつもりはない。
【二度あることは三度ある】と言うことわざがあるが、それは無視しておこうと誓った。
そう自分にはまだ、切り札が残っている。