恋しちゃいけない!
志狼の車を見たとたん私は、呆然と立ち尽くす。
だって、目の前に長い車が......!
「どうした?乗らないのか?」
車のドアを執事に開けてもらって、呆然と立ち尽くす私を振り向いて言った。
しかもその顔は無表情。
ケッ!......金持ちめッ!私が庶民ってことを忘れてんじゃねえぞっ......
その、俺はいかにも当たりえだ。というような表情に、私はムカッとした。
だけど、表情はかくして
「い、いや。乗る」
怒鳴りたいのを抑えたから、顔が引きつってるかもしれない。
なので、俯く。
肩をちょっと、震えさせながら......
....私は落ち着かない。
ではなく、落ち着けない......
車に乗った瞬間、私のような庶民はそう。
ソワソワ、ソワソワ......
と落ち着きがないのだ。