恋しちゃいけない!

志狼の車を見たとたん私は、呆然と立ち尽くす。


 だって、目の前に長い車が......!



「どうした?乗らないのか?」



車のドアを執事に開けてもらって、呆然と立ち尽くす私を振り向いて言った。


 しかもその顔は無表情。


 
  ケッ!......金持ちめッ!私が庶民ってことを忘れてんじゃねえぞっ......



その、俺はいかにも当たりえだ。というような表情に、私はムカッとした。


 だけど、表情はかくして



「い、いや。乗る」


怒鳴りたいのを抑えたから、顔が引きつってるかもしれない。


 なので、俯く。


肩をちょっと、震えさせながら......




....私は落ち着かない。


ではなく、落ち着けない......


車に乗った瞬間、私のような庶民はそう。


  ソワソワ、ソワソワ......


と落ち着きがないのだ。










< 16 / 17 >

この作品をシェア

pagetop