三人の秘密
「はいはい。私と満は幼なじみでずっと一緒だからいいけど、マコは途中から来たから一緒にいる年月数えずらくて嫌い。」

満にそう愚痴をこぼしていたら、当の本人がやって来た。

「おはよう、満に叶。二人して何はなしてるんだ?」

朝から元気のいいマコを見るとちょっと羨ましい。

私は低血圧で朝に弱いのだ。

早起きなんて苦手中の苦手。

だから朝から元気いっぱいのマコを見ると、その元気を分けてほしいと思うのだった。

「別に、マコが面倒くさいって話してた。」

私はぶっきらぼうにそう答えると机に突っ伏した。

「叶、語弊が生じるような言い方は良くない。」

さっきから叶、叶といっているが、叶(かのう)とは私の名前である。

親である佐上武と芳恵が、どんな夢でも叶えられるようにとつけた名前らしいが、実際のところ夢を叶えるとかいう以前に夢なんかないのだ。

とそんな事を言っているうちに、すかさず満がフォローというか分かりやすい説明というかをマコに話していた。

最初私の言葉を聴いて焦っていたマコも、満の話を聞いてようやく安心したようだ。

「叶って言葉足らずなんだよ。だから彼氏できないんだろ~??」

マコの言葉に私はピクッと反応した。

私は近代まれに見る純粋ガールで十六年生きてて付き合ったことは愚か、好きなどという感情すら感じたことがなかったのだ。


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