あったかhome
ゴロゴロ…
ガチャン。
「はぁ……」
キャリーバックを
転がしながら、
電車に揺られて1時間……
引き取り相手先の
最寄り駅にきた。
どうしてかって?
それは……
――数日前…
『それなら、
私に預からせてください』
『あら、貴方は……
たしか、天海さん…』
『でも貴方はハッキリ言えば
他人ですし……』
口では
申し訳ないといっていても、
顔を見ればまるわかり。
嬉しそうですよー
『そんなの関係ありません。
……それに目の前にいる子に
預からないと言っているのは
この子に、死ねと言ってるようなものですよ』
『なッッ…!』
叔母さん達に一喝したその人は
周りにいる人を
少し掻き分けながら、
私の目の前にきた。
『貴方が梓ちゃん?』
ふわっと笑顔とともに
匂う、シトラスのような香り。
『は、い…』
『私、天海菜々子。
これから
私が梓ちゃんの保護者だからね
よろしくね』
ニコッと笑って
スッとだされた右手。
『…よろしくお願いします』
私は少し
天海さんの右手を
ためらいながらも握った。
それからは、
天海さんに
今日はさすがに荷物とか
準備出来ないだろうからって、
手書きの地図を渡してくれた。
じゃあ、
準備が出来たらココにきてね!
と笑顔で言われ、
天海さんは、
スタスタと出口へと
去って行った。
……その時、叔母さん達を
睨んでたのは
気のせい…だと思う。
そして今日、
準備が出来た私は、
天海さんの家の最寄り駅に
いるんだけど……
「人が多い…し、あっつい……」
そう、駅の外では、
人、人、人、人だらけ。
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