初恋の行方〜謎の転校生〜
家の前に黒塗りの車が停まっていて、それに寄り掛かるようにして柏木君が立っていた。


黒のジーンズに、やはり黒のジャケットを羽織った柏木君は、よりスマートに見えて格好よかった。


一週間ぶりで、しかも私服姿の柏木君に、まるで初対面の人と接するような気分になり、私はドキドキしてしまった。


柏木君は、朝日が眩しいのか、目を細めて私を見ていた。


「おはようございます」


「おはよう。寝てたのか?」


「え、あ……ちょっと。何時に来てくれるか分からないから、早く起きて待ってたんだけど、いつの間にか二度寝しちゃった」


「時間、言わなかったっけ?」


「聞いてないよ?」


「そっか、ごめん。じゃあ行こうか?」


「うん」


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