初恋の行方〜謎の転校生〜
柏木君が車のドアを開けてくれて車に乗り込み、柏木君も隣に乗り込むと、私はドキドキして、でも嬉しくてワクワクした。


何を話そうかな?

話したい事は色々あって、何から話そうか考えていたら、


「坊ちゃん、次は本庄邸に行きますか?」


後ろを向いた運転手の黒崎さんが、柏木君にそう聞いてきた。


「いいえ、真っ直ぐ空港にお願いします。なんで本庄邸へ?」


「これは失礼しました。てっきり紗耶香様もご一緒に行かれるのかと……」


「何で? 彼女と九州に行った事ないでしょ?」


「そうでしたね。うっかりしました。いつも坊ちゃんはお一人で行かれますよね?」


そう言って黒崎さんは、チラッと私に視線を送ってきた。


もしかすると今のは、黒崎さんが私を牽制したの?


ワクワクして膨らんでいた気持ちが、プシューっと萎んでいくのが自分でも分かった。


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