初恋の行方〜謎の転校生〜
あっという間に九州へ着き、駅前でタクシーに乗ると、運転手に霊園の名を告げた。悠人の墓がある霊園の名を。


それを聞いても、川島美咲は一瞬息を飲む気配がしたものの、大きく動揺した様子はなかった。


「気付いてたのか?」

と聞くと、思った通り、「うん」と彼女は頷いた。


それならばと、俺は悠人が中3の時にこっちに引っ越し、難しい手術に命懸けで挑んだ、という事を彼女に話した。


それと、悠人が引っ越す前の日に川島美咲に告白し、振られたという事を、俺はあいつの日記を読んで知った事。そして、その事で俺が彼女を恨んだ事も。


その途端、彼女は泣き出してしまった。涙をポロポロこぼしながら。


俺は彼女が可哀相になり、俺の逆恨みだった事を説明した。

実際、悠人だって彼女を恨んでなんかなかったはずだ。そんな言葉は、日記に一言も書いてなかったから。


俺が川島美咲を探し、同じ高校に編入までして接近したのは、実は復讐するためではなく、川島美咲に会いたかっただけなのだ。


後で紗耶香さんから言われるまで、俺自身気付いてなかった事ではあるが。


それを彼女に話してる内に、危うく今の気持ちを言いそうになってしまった。あぶなかった。


まだ、言ってはいけないんだ。
俺にはそれを言う資格が、まだないのだから。


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