初恋の行方〜謎の転校生〜
本場の博多ラーメンは、コクがあるのにさっぱりした味、という気がして、とても美味しかったんじゃないかと思う。


でも実際のところは、私は向かいのユキちゃんに食べさせる事に夢中で、ラーメンの味をじっくり味わうどころではなかった。


ほんの僅かな時間だけど、子育ての苦労が少し分かった気がした。それと同時に、子供が可愛いという事も……



食事が終わり、そろそろ帰るのかなと思っていたら、柏木君がお母様に向かい、「あのさ……」と話し始めた。


「なあに?」


「柏木の家を出たい、って言ったらどうする?」


「どうしたの、いきなり……?」


お母様は柏木君の言葉に驚いた顔をした。もちろん、私も。


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