初恋の行方〜謎の転校生〜
「お祖父様と話し合いなさい」


そうお母様が言うと、柏木君は「うーん」と唸った。


「それが出来ずにあの家を出た私が言うのはおかしいけど、お祖父様もお歳を召して、昔よりも丸くなってるんじゃないかしら？」


「それは確かにそうかもだけど、頑固なところは直ってないよ」


「そう……。隼人には申し訳ないと思ってるし、幸せになってほしいけど、柏木の家も守ってほしいのよね。あの家を捨てた私が言えた義理じゃないんだけど。

それにあなたまでいなくなったら、お祖父様は一人ぼっちになるのよ？
それを思うと……

だから、隼人にはヤケを起こしてあの家を出てほしくないの。お祖父様と心を開いて話し合えない？」


「ん……わかったよ」


柏木君のお祖父様が頑固な方で、彼が何かのためにお祖父様と話し合う事になったらしい。


それは部外者の私でも分かったけど、肝心の何を話し合うのかが、私には分からなかった。


また、それが何なのかを、聞ける雰囲気でもなかった。


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