初恋の行方〜謎の転校生〜
家の前まで送ってもらい、「おやすみなさい」と言って家に歩きかけたら、「ちょっと待って」と言って柏木君が後ろから私の肩に手を置いた。


「はい?」と言いながら振り向くと、柏木君に体を引き寄せられ、キスされちゃった。


「ごめん」

「ううん」

「おやすみ。また明日な?」

「うん、また明日」


車に乗り込む柏木君に小さく手を振り、車が走り去ると、私はバッグから鍵を出し、ドアを開けてそっと家に入った。何となく、後ろめたくて。


出来れば親に気づかれずに2階の部屋に上がろうと思ったんだけど、


「お帰りなさい」


階段にたどり着く前に、母に見つかってしまった。


「ただいま……」

「早かったわね。九州まで行った割には」

「お母さん、なんで知ってるの? 九州に行ったって」

「今朝聞いたもの。柏木隼人君から」

「う、なぜにフルネーム?」

「夕ご飯は?」

「食べてない。着替えてくるね?」


そう言って2階に上がろうとしたら……


「美咲、こっちに来なさい」


リビングから父の声がした。


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