初恋の行方〜謎の転校生〜
いつになく厳しい感じに聞こえた父の声に、私は恐る恐るリビングに入って行った。


父はソファーに腰掛け、週刊誌を読んでいたらしく、雑誌から顔を上げて私を睨んでいた。


怒ってる?


「ただいま……」

「ん。そこに座りなさい」

「先に着替えて来る?」

「いいから、座りなさい!」

「はい!」


やっぱり怒ってる。
柏木君の事だろうなあ。
私はおとなしく、父の向かいに腰を降ろした。

あれ?

私は、父が膝の上に置いた雑誌の表紙を屈んで覗いて見た。


「お父さん、それ……」

「何だ?」

「逆さじゃない?」


表紙の女の子の顔が逆さになっていた。


「や、これはだな、挿絵を逆さに見るとどうなるかな、とか……」


父は、なんか訳の分からない事をブツブツ言いながら、雑誌を閉じてバサッとテーブルに置いた。


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