初恋の行方〜謎の転校生〜
ドキッ


「あんな事って?」

「それは、つ、つまり、き、き……」


き?

まさか……?


「き、キスだ。してただろ、さっき。お父さんは、み、見たんだからな!」


あちゃー。


母を見ると、“ほんとなの?”という顔をしたので、私は照れ隠しにエヘッと笑ってしまった。


「こら! 何を笑ってる!?」

「ごめんなさい。でもあれは、おやすみの挨拶みたいなものだから……」

「挨拶だあ? 日本にそんな風習はない! おまえ達は、欧米か!?」

プッ

父の古いギャグに、思わず吹いてしまった。

でも、父はふざけたわけじゃないらしく、

「美咲っ!」

と大きな声で怒鳴られ、私の体はビクッと跳ねた。


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