初恋の行方〜謎の転校生〜
次の日。

約束通り柏木君は学校に来てくれた。この学校の制服を着て。当然のように、本庄さんも私達のと同じ制服を着ていた。


それはつまり、柏木君と本庄さんは、何らかの連絡を取り合ったという事だ。


たかが制服ぐらいで、とも思うけど、あの二人には、私が入いる余地などない、深くて親密な繋がりがあるように思えてならない。



「昨日はありがとうございました」


隣の席に柏木君が座ると、すぐに私は昨日のお礼を言った。


「いや、こっちこそ、ありがとう」


柏木君はそう言うと、爽やかな笑顔を私に向けてくれた。


「あの……昨日の飛行機のお金はいくらですか?」

「はあ? 何で?」

「父から、“料金を聞いてお返ししなさい”って言われたので……」


今朝、父からそう言われたのだ。

「お金の話はしたくない」と私は抵抗したのだけど、「そういう事はきちんとしないとダメだ。でないと、親の常識まで疑われてしまうから」と、父は言っていた。


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