初恋の行方〜謎の転校生〜
「昨日は俺が誘ったんだから、そんな心配はしないでいいよ」


案の定、柏木君はそう言ってくれたけど、私は一度言い出した以上、簡単に“はい、そうですか”と言うわけには行かないと思い、

「でも、そういうわけには……」

と言うと、


「どうしてもなら、いくらだったか調べてもいいけど、面倒だし、あげたものを返されるみたいで嫌だな、そういうのは。親父さんにうまく話してくれない?」


と言われてしまった。さっきまでの笑顔とは裏腹に、いかにも機嫌が悪そうな顔で。


「うん、言ってみる」

と私が言うと、

「頼むわ」

と言ったきり、柏木君は前を向いてしまった。


う……お父さんのバカ!


父は常識的な事を言っただけ。それは解っていたけど、つい父に八つ当たりしてしまう私だった。


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