初恋の行方〜謎の転校生〜
私は柏木君、ううん隼人さんの裸の胸に頬を寄せ、彼の心臓の鼓動を聞いていた。

隼人さんはそんな私の頭を優しく撫でながら、「あのさ……」と言った。


「ん?」


「おまえ、じゃなかった美咲はさ、俺の“初恋の人”って事になるんだぜ?」


「私が? 嘘ばっかり!」


「ほんとだって。付き合った女は何人もいるけど、好きになったのはおまえが初めてだ。あ、おまえじゃなくて……」


「うふ。“おまえ”でいいわよ。でもそういうの、初恋って言えるの? なんか不純な気がする」


「そう言うおまえの初恋は悠人だろ?」


「そうだけど、隼人さんでもあると思う」


「何だよ、それ。俺は悠人の代わりかよ?」


「そうじゃないんだけど……、正直に言うと、悠人君と隼人さんが別人だと思えない、というか……」


「やっぱり俺は悠人の代わりじゃねえか……」


「ごめんなさい。怒った?」


顔を上げて隼人さんを見たら、彼はクスッと優しい顔で微笑んだ。


「それでいいよ。悠人は俺の中にいる気がするんだ。あいつが死んだ時から、俺達はひとつになったと思う。

だからおまえは悠人の事も、悠人を好きだった気持ちも、忘れなくていい。むしろ、忘れないでやってほしい」


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