初恋の行方〜謎の転校生〜
私は悠人君も隼人さんも、決して忘れない。忘れるなんてできない。例え明日から、会えなくなるとしても……



ずっとそうしていたかったけど、母がいつ帰って来るか分からないので、私は後ろ髪を引かれる思いで部屋着に着替え、隼人さんを玄関まで見送った。


「体がきついからここでいい?」

「もちろんさ。大丈夫か?」

「うん」

「じゃあ、またな?」


「ちょっと待って?」


私は背を向けかけた隼人さんを呼び止めた。

そして「ん?」と振り向いた彼に抱き着くと、背伸びして唇を彼のそれに押し付けた。


これが、隼人さんとの最後のキス……


私は隼人さんの唇の感触を心に深く刻みたくて、いつまでもそれを続けた。


隼人さんは私の背中に腕を回し、ギューッと強く抱きしめてくれていた。


このまま、時間なんか止まっちゃえばいいのに……


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