初恋の行方〜謎の転校生〜
もちろん時間は止まってはくれず、私は彼から体を離した。


「ごめんなさい、引き止めちゃって……」

「いや、いいよ」

「じゃあ、さようなら。元気でね?」

「お、おお」


隼人さんはドアを開け、外に出てから「あっ」と言って私を振り向いた。そして、


「携帯の番号を交換しよう?」

と言った。

私は一瞬考えたけど、それはダメだと思い、首を横に振った。


「え? なんで? 連絡出来ないだろ?」

「連絡しないから……」

「え?」


「私達、会うのはこれっきりにしよう?」


「な、何言ってるんだよ?」


「隼人さんは、家を出ちゃダメだと思う」


「祖父さんの言いなりになれって事か? 好きでもない女と結婚しろってか?」


「本庄さんは綺麗だから、きっと好きになるよ」


「おまえは平気なのかよ? 俺がいなくても、平気なのか?」


「へ、平気よ。今日の事を思い出にして、生きて行けるから」


「俺は……」


「さようなら。幸せになってください」


私はそう叫ぶと、ドアをバタンと閉めて鍵を掛けた。


外からドアを叩く音が聞こえたけど、私は耳を塞ぎながら階段を駆け上がった。


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