初恋の行方〜謎の転校生〜
川島美咲はそれでもジッと俺を見上げていた。


いいのかよ?
もうすぐおまえ、男にキスされんだぞ?


俺の唇が、あとほんの数センチで川島美咲の唇に触れるというところで、川島美咲は大きな目をそっと、閉じやがった。


コイツ、やっぱり俺を誘ってたのか……。軽い女だな。


俺は呆れた、というか失望した。


ちょっと待て。失望?

失望するって事は、俺は期待してたって事にならねえか?

でも、俺はコイツにいったい何を期待してたんだろう……


俺は川島美咲を突き放し、その軽薄さを罵倒しようと思った。


ところが、川島美咲の微かに開いた唇から漏れる、甘ったるい香に、俺の思考は麻痺してしまった。


ダメだ。とまんねえ……


俺は川島美咲の唇に、俺のをそっと触れさせた。


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