初恋の行方〜謎の転校生〜
「泣かせちゃったわね? 可哀相……」
俺が呆然としていると、どこからともなく紗耶香さんが現れた。
「見てたんですか?」
「見てたわよ、全部」
「悪趣味ですね。令嬢のすることじゃない」
俺はイライラが収まらず、ついそんな悪態が口をついてしまった。
紗耶香さんは一瞬ムッとしたようだったが、すぐに笑顔になると、
「もう終わりにしましょう? 目的は果たしたんでしょ?」
と言った。
確かに目的は果たしたと思う。しかし……
「いいえ、まだです」
と俺は言っていた。
「もっとあの子を虐めたいの?」
「紗耶香さん、“口出ししないでください”って言いましたよね?」
「ずいぶん機嫌が悪いのね?」
そう言って紗耶香さんは、俺の首に腕を回し、顔を近付けて来た。そして、
「消毒してあげる」
と言って濡れた唇を俺に寄せてきた。
その時、公園にやって来た親子連れが目に入り、
「人が来ましたから」
と言って、俺は紗耶香さんを俺の体から引きはがした。
紗耶香さんは不服そうだったが、俺はいまだ唇に残る川島美咲の温もりを、消さずに済んだ事にホッとしていた。
俺が呆然としていると、どこからともなく紗耶香さんが現れた。
「見てたんですか?」
「見てたわよ、全部」
「悪趣味ですね。令嬢のすることじゃない」
俺はイライラが収まらず、ついそんな悪態が口をついてしまった。
紗耶香さんは一瞬ムッとしたようだったが、すぐに笑顔になると、
「もう終わりにしましょう? 目的は果たしたんでしょ?」
と言った。
確かに目的は果たしたと思う。しかし……
「いいえ、まだです」
と俺は言っていた。
「もっとあの子を虐めたいの?」
「紗耶香さん、“口出ししないでください”って言いましたよね?」
「ずいぶん機嫌が悪いのね?」
そう言って紗耶香さんは、俺の首に腕を回し、顔を近付けて来た。そして、
「消毒してあげる」
と言って濡れた唇を俺に寄せてきた。
その時、公園にやって来た親子連れが目に入り、
「人が来ましたから」
と言って、俺は紗耶香さんを俺の体から引きはがした。
紗耶香さんは不服そうだったが、俺はいまだ唇に残る川島美咲の温もりを、消さずに済んだ事にホッとしていた。