初恋の行方〜謎の転校生〜
母にとって、私の友達と言えば理恵だった。他の子の話はした事がないから。


「そ、そうだよ」

『だったら、“友達”なんて言わずに理恵ちゃんって言えばいいのに……』


しまった。母って、時々勘がいいんだよね……


「だって、すぐ側にいるから……」


『ああ、そうね』


ふー、うまくごまかせた。


『気をつけて。あまり遅くならないようにね?』


「はーい」


電話の切り方も分からないので、無言で柏木君に携帯をスッと差し出すと、柏木君は携帯の画面にピッて感じで指を触れ、胸ポケットに仕舞った。


「母に嘘ついちゃった」


と私が言ったら、柏木君がフッと笑ったような気がした。すぐにそっぽを向いたので、気のせいかもしれないけど。


< 70 / 224 >

この作品をシェア

pagetop