初恋の行方〜謎の転校生〜
しばらくして、車はやはり大きな家の玄関の前で停まった。

本庄さんの日本式のお屋敷とは違い、モダンな造りの家だった。


車から降りると、「歩けるか?」と柏木君に聞かれ、「大丈夫です」と私は答えたんだけど、足や腰が痛くて、足元が覚束なかった。


それを見兼ねたみたいで、「しょうがねえなあ」と柏木君は呟き、私の肩を掴んで腰を屈め、次の瞬間に私の体は宙に浮いていた。


「か、柏木君。歩けるから……」


「無理すんなって。しっかり掴まっとけ」


「すみません……」


私は遠慮がちに、柏木君の首に腕を回した。そうすると自然と柏木君と顔が近くなり、お姫様抱っこは二度目だけど、一度目よりもドキドキした。


< 71 / 224 >

この作品をシェア

pagetop