初恋の行方〜謎の転校生〜
私は布団の縁をしっかり掴みながら、“イヤ”と頭(かぶり)を振った。もちろん恥ずかしいから。


「なんで?」

「恥ずかしいから……」

「今更何言ってるんだよ?」

「自分で貼ります」

「そうか?」


そう言って、柏木君はゆっくりとベッドから立ち上がった。

それで私はホッとして、布団を握る手の力を緩めたら、その瞬間……


「ひゃっ」


掛け布団を一気に剥ぎ取られてしまった。


「あはは。油断したな、川島美咲」


「み、見ないでください」


私はベッドの上で体を丸めた。それで体を隠せるわけではないけれど。

柏木君は剥いだ掛け布団をベッドの奥に放り投げたので、すかさず私はそれに手を伸ばしたのだけど、その手首を柏木君にがっちり握られてしまった。


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