初恋の行方〜謎の転校生〜
「約束、守ってくれますか?」

「ああ、守るよ」

「じゃあ、大人しくします」


柏木君が手を放すと、私はさっきと同じく、仰向けになり、両手で顔を覆った。

「すぐ終わるから」

「はい」

こんなの恥ずかしすぎるから、本当に早く終わってほしかった。でも……


「あいつら、女子にこんな傷付けやがって……。手加減しなきゃよかったぜ」


その呟きがなんだか嬉しくて、私は指の隙間からそっと柏木君を覗いてみた。

彼は怒ったような顔をしながら、湿布薬にハサミを入れていた。

そして、切った湿布薬を私の腿に貼って……


「ひゃっ」


湿布薬がすごく冷たくて、思わず私は声を出していた。


「染みたか?」

「あ、いいえ、すごく冷たくて……」

「ああ、そうか。腫れて熱持ってるからだよ。悪いけど、我慢な?」


柏木君って、優しいんだ……


私は「はい」と言って顔から手を退かし、しっかり目を開いて柏木君を見つめた。


< 84 / 224 >

この作品をシェア

pagetop