色恋


紺野の過去は、正直聞いていられるもんじゃなかった。

つい、耳を塞ぎたくなった。


話の間、春川の目を見ることは出来なかった。

正直、怖かった……。
‘本当にあるのか、こんな事’と、言いたくなるような恐ろしい内容だったから……。


もし、俺が紺野の立場だったら耐えられただろうか……。

否、そもそも俺は男で紺野は女だ。
体力も精神力も違う。


これは、紺野にとって、心に深く深く刻まれた、一生の傷。

決して、消える事の無い傷。


俺は、紺野の傷を癒してやる事が出来るだろうか……。

否、やってみせる!


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