色恋
水原と呼ばれた男。
本名を水原拓海と言うらしい……。
海波君より少し低い身長で、爽やか系男子ってイメージの明るい茶髪。
笑うと可愛くて、親しみ易い感じだ。
「まぁまぁ、そう言うなよ。俺たち親友だろ?」
「違うだろ」
そう言いながら、二人は私に近付いて来た。
ドアの前で固まっている私の方に、顔を向け口を開いた。
「あれ、紺野さん?入らないの?」
「へっ!?あ……入ります」
って、ダメじゃん私!
こんな状態じゃ、海波君に話し掛けられないよ。
何で、昨日は普通に話してたのに、今日は目も合わせられないなんて……
どうしよう……
「海波。紺野さん、固まっちゃってるみたいだよ」
「んな事は、見りゃ~ぁ分かる」
何か二人で話している様だけど、今私はそれどころじゃない。
自分の思考に入ってしまった……。
これは、私の悪い癖だ。
考え込むといつもこうだ。
その困った癖の中に、不機嫌な声が入り込んで来た。