色恋
+優しい声+
-雪side-
「紺野!!」
薄れていく意識の中で、はっきりと聴こえた。
前にも私を助けてくれた、あの人の声が……
でも、居る筈がない。炎が燃え上がる場所まで、わざわざ来る訳ない。
今までもこれからも、私に手を差し伸べてくれる人なんて、居る筈がない。
あ……ヤバい……
その時
パシッ……!!
え?
腕に温もりを感じる。
「紺野!大丈夫か!?」
あの優しい声も聴こえる。
これは…夢……なの……?
「紺野?」
うん。海波君が心配そうな顔してるから、これは夢なんだ。
なんて良い夢なんだろう。
私、死ぬのかな……
私は、薄れていく意識の中で、いつまでもこの優しい声を聴いていたいと思った。
初めて、私を助けてくれたこの声を―――
-雪side END-