色恋
「そう言えば……意識が薄れていく中で、海波君の声が聴こえたの」
「?」
「凄く優しい声だった」
「はぁ!?」
いきなり何を言い出すんだ。
「ありがとう」
「何が?」
「何がって……保健室まで運んでくれた事……」
「あぁ」
その事か……
てか、顔色も良いし案外丈夫なんだな。
そう思いながら、腕時計に目をやると、もう授業が始まっていた。
ヤベッ!早く戻んねぇ-と、滝川が面倒臭せぇ……!!
「じゃぁ、俺は教室戻るよ」
「えっ!」
「ゆっくり休めよ」
「ちょ……ちょっと待って!」
紺野に呼び止められ、何かと振り返ると……
「ごめんね……私のせいで……私が原因なのに……」
「良いよ、別に」
「えっ!?」
「気にしてねぇって」
「でも……」
俺は、まだ気にしてる様子の紺野を落ち着かせるように言った。
「高島の授業抜けられたし(笑)」
「あ……」
「だから気にすんな」
「ありがとう」
あ、笑った……