色恋
同じ頃、教室はざわついていた。
因みに、滝川のスローガンは【君子危うきに近寄らず】だ。
このざわつきに、関わらない様にしていたのは、言うまでも無い。
「ちょっと、どういう事~~ぉ?何で、二回も海波くんにお姫様抱っこされてるのよ!あの女~~ぁ!!」
「ムカつくんですけど~~ぉ!」
「もしかして、海波くんの事、狙ってんじゃな~~ぁい?だからまた、お姫様抱っこされる為に、わざと倒れたとか……?」
「「「「「何よ、それ!許せな--ぁい!!」」」」」
「さっき、小耳に挟んだんだけど、あいつ前の学校では成績優秀だったらしいよ~~ぉ!」
「はぁ!?どういう意味?手抜いてるって事~~ぉ!?」
「そういえば、さっき様子を見に保健室に行ったら、アドレス交換してたわよ!」
「「「「「何ですって~~ぇ!私たちは何回聞いてもダメだったのに~~ぃ……」」」」」
「「「「「もう、許さない!見返してやるわ、あの女--ぁ!!」」」」」
俺は、この会話の内容を滝川に聞かされて……聞いて思った。
この場に居なくて、本当に良かった―――