One STEP
…当たり前か。
まだ夜じゃないんだから、おばけなんて出てこないよね。
だよねだよね。
うんうん分かってたさもちろん。
「……………」
なんとも恥ずかしくて情けない姿になっているあたし。
そんなあたしを階段から降りてきたソイツは不思議そうな顔で見つめている。
見られた。
現在進行形。
あたしは階段から降りてきたソイツの顔を見つめると、慌てて立ち上がった。
ぱ…パンツとか…見えてなかったよね?
いろいろ心配なことはあったけれど、これが最も心配なことになった。
1人で慌てふためくあたしに、ソイツ――――彼は笑いを堪えたような口調で言った。
「大丈夫?」
その透き通った声に、あたしは思わずマジマジと彼を見つめてしまった。
どこから出る声なんだろう…。
「?」
ずっとあたしが見つめているせいか、不思議そうに首を傾げるんだから、あたしは慌てて返事をした。
「だ、大丈夫です!」