One STEP
「あたしは…」
あたしは…っ。
何を言うの?
何が言葉として出てくるの?
あたしに発する言葉なんてある?
「藤田や弥生はアンタが必要なのかもしれない。でもあたしはアンタなんていらない」
恐くて。
苦しくて。
ズキンズキンと胸が痛んで。
ずっと俯いたままで、顔が上げられない。
「あたしは腰抜けを認めることなんてしない」
先輩の言っていることは正しいのかもしれない。
反論すらできない。
それに気づくのが…恐かった…?
だからこんなに、胸が…
「何からも逃げ続ける、アンタなんていらないわ」
その言葉が、あたしの心を貫いた。