One STEP
始まりの合図
やばい。
今叫んでたの、聞かれたよね…完璧。
口を塞いでいてももう遅い。
目の前には、先輩らしきオーラを放つ男の人。
制服に一切乱れはなく、キッチリとまるで見本のように着こなしている。
ピアスやネックレスのような装飾品もない。
髪だって真っ黒だし、唯一言うならばワックスで少し遊ばれているくらいだ。
珍しいなぁと思った。
この高校は、校則がないと言っても過言ではないくらい校則が甘いのだ。
それを第二の目的としてこの高校を選んだ。
校則に縛られた高校生活なんて、あたしは嫌だ。
もちろん、あたしの髪は赤に近い茶髪。
ピアスはもちろん、軽く結んだ髪には黄色と白のボーダーのシュシュ。
ハートのネックレスだってしてるし、靴下は白黒のボーダーハイソックス。
派手すぎるとまではいかないけれど、普通ではないと思う。
もちろんのことながら先生たちは何も言われない。
部活に入らなければ先輩たちからも何も言われない。
もちろんあたしは部活になんて入る気ゼロ。
だからこの格好で断然オーケーなのである。