One STEP
Black or White
「どうしたの、その膨れっ面は」
琴子は面白そうにあたしの顔を覗き見ていた。
つんつんと面白そうにあたしのホッペを突く。
あたしはまだ怒っていた。
やはり寝てもこのイライラは去って行かないわけで。
しかも熟睡できなかったから、目下にはクマが薄っすらとできてしまった。
泣きすぎて目も痛いし。
最悪なことばかりだ。
「ほっとけ」
「ひゃー、香澄怒り中~」
昨日のことは、あたしと藤田先輩とあの先輩しか知らない。
みんな琴子の感想を真剣に聞いていたから。
それだけ演劇に賭けているんだな、と思った。
みんなかなり真剣なんだ。