One STEP
「今の声は君だよね?」
その男の人は、あたしのいる踊り場まで下りて来た。
うーわ。
かなり微妙な人。
…って、あたしが言えないんだけど。
真っ黒で、短めに切られた髪。
そこらにいそうな顔つき。
しかし真面目くんには見えない。
眼鏡をかけていないから?
背は、わりと高い。
あたしの頭1個分プラスくらい。
特徴ゼロ。
あたしと一緒。
なんだかちょっぴり親近感。
カッコ良くもないし、カッコ悪くもないってやつ。
けれど王子様にはほど遠い。
あたしのタイプではない。
…あたしも、周りからこんな風に思われてるのかな?
そう思ったらすごく悲しくなった。