One STEP
だってこの顔はずっと欲しかった物でも見つかったような、そんな顔だったから。
目はキラッキラ輝いているし。
これでもかってくらいニコニコスマイルだし。
振り払うどころか、う゛っと怯んでしまった。
こんなあたし、かなり珍しい。
あたしは負けず嫌いだから、どんなことでも自分を貫き通しちゃう。
嫌なことは嫌!
そう、あたしはハッキリ言える女。
一体なんなの…?
ってか、まずあなたは誰?!
「君!名前は?」
「…え?」
自己紹介をしろ、と?
あたしは突然の会話の進み具合に、顔を引きつらせる。
だってカッコよくないんだもん。
カッコいい人なら喜んで教えるのに。
なんて考えて、結局あたしも人の事を言えないくらい外見重視なんだと思ったら、何だか気分が落ち込んだ。
「俺は藤田慎也!君はっ?!」
あたしがずっと黙っていたからか、先に自己紹介をしだした。
これって次はあたしがしなくちゃいけない感じだよね…?