One STEP
タンタンタンッ。
爽快な足音。
一段飛ばしで駆け上がる。
向かう場所はもちろん1つだけ。
あたしはその教室の前で一度止まった。
目を瞑ってゆっくりと深呼吸を繰り返す。
大丈夫。
大丈夫。
後悔はない。
前に、進むんだ。
ずっと、その一歩が踏み出せずにいた。
今は―――平気。
―――ガラッ
あの日先輩が豪快に開けたみたいにあたしは一気にドアを開けた。
「1年B組荒木香澄、演劇部入部希望ですっ!」
あたしの声は、綺麗に教室に響き渡った。