One STEP
鐘は鳴り響いた
始まりはここから
「それでわでわ」
コホン、と。
まるで何かの議長のように咳払いをする夏沙先輩。
ただいまあたし。
さっきの行動に絶賛後悔中。
さっきのあの威力はいったいどこに消えたのか。
今じゃ欠片も残っていない。
あたしの手には、ジュースの入った紙コップ。
目の前には、にっこにこの夏沙先輩。
みんな、綺麗に並べられた椅子に座っている。
もちろん、1人1つ机の上に紙コップ。
「かすみん入部を記念して、カンパーイっ!!」
夏沙先輩の声がやや狭い教室に響き渡る。
そのまま、風呂上りに牛乳でも飲む親父のように、ジュースを一気飲みする夏沙先輩。
あたしは横目に見て、ジュースを口に含んだ。
どうしてこんなことになっているんだろう…