One STEP
「松下落ち着いて。八木とゆたはいないっぽいけど、自己紹介をしましょー」
はいはーい、と小さな子を集めるように手を叩く藤田先輩。
どうやらこういう状況を変えることができるのは藤田先輩だけみたい。
さすが。
「はぁー」
大きなため息をし、仕方なく椅子に座りなおす先輩。
うぅ…あたしのせいで部活崩壊しっちゃったらどうしよう…。
こっちが心配だ。
迷惑は絶対かけたくない。
どうにかして、あの先輩と仲良くならないと。
小さく拳を握り締める。
こうなることは理解してたはず。
やはり、あたしには先輩との付き合い方がイマイチ分からない。
でも先輩だから、そんな理由で恐がってちゃだめだと思う。
あたしが、あたしが決めたんだから。