One STEP
「なにこのジュース」
変な物でも見るかのように、コップを指差す藤田先輩。
あたしはコップに伸ばした手を、反射的に引っ込めた。
「あー、なんか夏沙の四次元ポケットから出てきました」
飲みます?
そう言って、新しい紙コップにジュースを注ぐ柳沢先輩。
「夏沙ぁーダメだよジュース」
とか言いながら、ちゃっかりジュースを受け取っている。
なんだその矛盾は。
夏沙先輩は、プーっと頬をパンパンに膨らませる。
「じゃあ、ふじたん先輩は飲まないでくださいよねー?」
そう言って、藤田先輩の手からコップを奪い取る。
「うそうそよくやった夏沙ぁー」
「むー……、しょうがないですねぇまったく」
どうやら有りみたい。
なんでも有りなのかな?
1リットルジュース…なんて、ダメじゃない?
もちろん口にはしない。