One STEP
な…なんか、緊張するなぁ…
周りが先輩だけなんて、人生初めてのこと。
ドキンドキンと胸が高鳴る。
緊張のあまり体が強張る。
「じゃあテキトウにやっていきましょー?」
「じゃああたしでいいかな?」
藤田先輩が椅子に座り、寺原先輩が立った。
風を受け、揺れる長くて綺麗な黒髪。
しゃんとした背筋。
この人は、周りとぜんぜんオーラが違う。
「寺原弥生です。一応副部長なの」
フフっと笑って、あたしを見る。
合わさった視線。
ドキンっと胸が弾む。
「よろしくね」
そう言って、とても綺麗に笑う。
人形じゃない、作られた笑顔じゃない、とても純粋な笑顔。
こりゃあ誰もが見惚れるわけだ。