One STEP
ん?
ここであたしが自己紹介をしても良かったのだろうか?
不安になりながらも顔を上げると、2人はにっこりと笑顔を見せてくれた。
カチンカチンに固まった心が溶けていく。
「荒木ね、おっけ」
「了解っでーす♪よろしくね~」
藤田先輩が2人に紙コップを渡す。
「ほら、2人も自己紹介して」
藤田先輩が空の紙コップにジュースを注ぎながら、そう促す。
「あ、そんな感じになってんのね。えっと、八木です。ちなみに2年」
黒縁めがねがとても似合っていた。
いままで見てきた演劇部員の中で一番おとなしそうな感じ。
「次俺ね!ゆたでっす!八木と一緒で2年生」
「ゆ…ゆた先輩ですか…?」
ゆた…?
もちろん下の名前だよね?